留置所の中では、約6畳の房の中で、一日中二人で過ごさなくてはいけません。誰とも口を聞けない独房や房の中での序列が付きやすい4人房に比べれば2人房は良かったのかもしれません。
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房の中での人間関係は運次第
房の中で誰と一緒になるかは、運次第です。ひょっとしたら留置所の担当者が性格や年齢や犯した罪の種類で振り分けをしているのかもしれませんが、いずれにせよ、当の本人はどうすることも出来ません。
僕が房に入った時の先住者は、既に何度も塀の中と外とを出入りしている人で、留置所だけでなく、刑務所にも入ったことがある人のようでした。
この方、意地悪だったり、怖かったりすることはなかったので、多分あたりだったとは思いますが、この方、細かすぎるのが難点でした。房の中でやることがないのは確かなのですが、ひたすら畳の上に散らかった抜け毛を一箇所に集めているのを見ると、昼寝用の毛布を広げたときにゴミを散らかしているのではないかとヒヤヒヤしてしまいました。
でも、他の房からは口喧嘩する声や、30分おきに大声で担当さんを呼びつける声を聞くと、穏やかで静かな人で良かったと思ってしまいます。
やることは本を読むか昼寝するか
取り調べは一日にせいぜい1時間ぐらいです。残りの時間は良く言えば自由時間なのですが、とにかくやることがありません。やることは、30〜40冊の蔵書から一日三冊を選んで読書に勤しむか、新聞を一時間ぐらいかけてゆっくり読むか、昼寝するかしかありません。昼寝は最初の頃は良かったのですが、21時就寝の1日10時間睡眠生活をしてしまうと、なかなか昼間眠くなりません。そこで、唯一の時間つぶしが読書になります。
結構色々な本を読みましたが、覚えているのはゲームの達人です。一冊が厚い本のほうが時間つぶしになりますし、ミステリーは入り込むことが出来るので、現在自分が置かれている境遇をすこしは忘れる事ができました。
また、逆境を物ともせずにのし上がっていく主人公の姿と、6畳の房から出ることの出来ない逆境に居る自分とを重ね合わせて、勇気をもらうことも出来ました。
その他には、刑事物の小説も多く、2-3冊読みました。
昼寝はしすぎてしまうと、夜更に寝れなくなってしまうので、程々にしていましたが、読書で目が疲れると、他にやることがないので、一日に一回は昼寝をしていました。
後のことを考えなければ、意外にに穏やかな生活
留置所を出たあとに、家族や会社への謝罪をどうしようかとか、会社をクビにならないかとか、色々と頭の中を巡ってきて、ひとり考え込む時間は暗くなってしまうのですが、それさえ忘れてしまえば、一日中ゆっくり出来るし、睡眠時間も十二分に取れるので、意外に穏やかな生活を送ることが出来ました。